workshttp://www.suep.jp/SUEP./works.html
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ミドリノオカテラスは,都内の住宅地の旗竿敷地に 建てられた全10 戸のコーポラティブハウス(長屋) である。ふたつの鉄道路線の中間帯に位置するこのエリアは,駅前開発から逃れ,緑地や公園が点在している場所である。ここでは,緑地の残るポテンシャルを生かし,「緑と共に暮らす」というビジョンを立ち上げ,緑を一緒に育てながらエココンシャスに暮らす事に共感する住民が集まり,共創することとなった。旗竿敷地のため,周囲は建物が建て込んでおり,日照や通風を十分に確保するため,建物を上階に行くに従ってセットバックするヴォリュームとした。また不定形な敷地形状,隣地との目線,陽当たりなどを考慮して多角形の平面とし,さらに長屋に必要な屋外階段を建物ヴォリュームと一体化することで,多様なテラスが重なる丘のような形状となった。階段や踊り場では,自然と住民同士の交流する場が生まれている。丘状ヴォリュームに配置された各住戸は,リビングイン型の平面となり,外部環境から内部環境へと連続する住環境となっている。

この建物は,地盤面から屋上までが連続的に繋がり,全体が緑化されている。特徴的なのは,小公園のような屋上空間である.共同菜園や,ベンチ,テーブル,アウトドアキッチンなどが備えられた眺望のよい空間は,住民にとっての憩いの場となっている。樹種は,周辺の生態系を調査し,生息する鳥や蝶などが好むものを選定することで,地域 の生態系ネットワークに参加し,豊かなグリーンインフラによるサービスを享受している。丘の形状を生かして,雨水を集水し,樹木への潅水やバードバス,水路などの水の循環をデザインし,そこに地域の生態系と住民の生態系を重ね合わせることでできる持続可能なエコシステムを考えた。完成後見に行くと,屋上のジューンベリーの実がなくなっていた。聞くと,下の方は住民の子どもたちが,上の方は小鳥が食べたのだという。われわれは,都市開発が人間以外の生き物たちの環境を奪ってきた事をもう一度見つめ直し,身近なところから,人間と生物の環境を同時に考えていかなければならないのではないだろうか。

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所在地:東京都世田谷区

敷地面積:445.05㎡

建築面積:221.92㎡

延床面積:749.60㎡

末光弘和+末光陽子 / 株式会社SUEP.

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Apartment

ミドリノオカテラス / 2020