東日本大震災で津波被害を受けた沿岸部の町を、内陸移転しつくり直している地域の中心部に建つ小学校と子育て拠点施設。
新しい市街地 に建設されるため、その中心に建つ小学校は新たな都市コミュニティの 中心としての役割やシンボル性が求められる。通常であればグラウンドを南に校舎を北に配置するが、それでは校舎と街路との距離が離れすぎると考えた。校舎とグラウンドを街路に対し て東西に並べて計画することで、街と学校との距離が近づき、より積極的に地域交流拠点としての役割を果たすよう配慮した。駅前から公園まで 街路に沿って緑地帯を連続させて、隣接する子育て拠点施設と一体的な街並みを創りだした。街路に対して開かれた中 ニワをもつロの字型の校舎とすることで、様々な活動を包みこむ地域の 拠点づくりに寄与することを意図した。
山元町子育て拠点施設は、新築する山下第二小学校と隣接するため、駐車場や広場の利用等の連携を計り、一体的な計画としている。子育て世代に町に戻って来て欲しいという願いもあり、町の中心に公園と溶け込むように建ち、誰からも使いやすい施設とし、主に児童館・子育て支援センター・放課後児童クラブ・保育所の機能を合わせ持っている。低予算と東北エリアの建設費高騰・職人不足等を考慮して、表面積を最小限にする円形平面の木造グリッドプランの平屋建てにしており、柱梁筋交い等の構造体をできる限りそのまま露出することで、子供達にとって沢山の遊び場となる、「木造軸組の森」のような場所をつくり出している。中心には正方形の全天候型屋内広場をつくり、雨天でも安心して楽しめる施設になっている。
data
所在地:宮城県亘理郡山元町
敷地面積:7,935.43㎡
建築面積:874.89㎡
延床面積:818.26㎡
構造規模:木造1階
School
山元町こどもセンター/ 2016
末光弘和+末光陽子 / 株式会社SUEP.
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