末光弘和+末光陽子 / 株式会社SUEP.

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斜面の大地に掘り込まれた、動物の巣のような涼しい環境をデザインする。

敷地は、筑紫平野の小高い丘の中腹にある南向き斜面に建つため、日当りが良く、南風が吹き上がって来る環境にある。固い岩盤層の上の表層地盤が軟弱で、地滑りなどの被害があるため、建物を大きく3つのBOX状のボリュームに分け、斜面の土留め擁壁を兼ねながら、半地下状に埋め込んだ。掘られた空間はそのまま居室とし、BOX同士を地下の階段で接続した蟻の巣のような平面になっている。埋め具合は、それぞれの部屋のプライバシーや必要日射に応じて、寝室は半地下、浴室は全地下にと変化をさせている。熱しにくく冷めにくい大地と一体化した建物は、エアコンを持たず、斜面を駆け上がってくる南風を地中空間で冷やし、涼しいエネルギーをつくり出す。躯体表面にはセラミック粉末混入塗料を塗り、遠赤外線の共鳴で躯体温度と身体の輻射エネルギー環境をコントロールしている。外壁は、斜面と同色の土で仕上げられており、現在は緑も生い茂る事で、斜面にとけ込んだ自然の風景をつくっている。地域の風の循環系に接続し、地中の熱エネルギーと重ね合わせる事で、自然を享受する住宅。

data

所在地:福岡県福岡市

敷地面積:200.43㎡

建築面積:  78.05㎡

延床面積:  76.84㎡

構造規模:RC造平屋

設計期間:2008.01 - 2009.10

工事期間:2009.11 - 2010.04

House

地中の棲処 / 2010